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今年は一週間おくれの桜であったが、それでも八重桜に変わって新学期のスタートとなった。声優はヤングの憧れの職業でしょう、結構ですねと他人に言われるが、それにしてもまあなんと養成校の増えたことか。
うちが開校した頃はこの種の学校はまだどこにもなく、いわば勝田はその道の老舗(しにせ)というところだ。老舗は暖簾(のれん)を大事にする。したがって学生を大量に入学させてのマスプロ教育はしない。大量に入学させれば行き届いた教育は難しくなる。まず有能な指導講師の調達が不可能だし、学生一人一人に対する指導が粗雑になる。うちは今年入学の第19期生も1クラス19名〜23名とし、指導講師の目の届く数に抑えている。アニメ誌などで派手に宣伝している学校の中には何百名も入学させたり、日本各地に分校を設けているところもあるようだ。経営的に考えれば上手なやり方と言えるかも知れないが、果たして有能な新人を生み出すことができるものなのだろうか。
学校屋さんの経営する学校はご商売なのだからそれでもよしとしても、今敢えて言いたいのは声優を多く擁しているプロダクションの養成所のあり方である。この十年ばかりの間にほとんどのプロダクションがプロダクション付属の養成所を持ち始めた。ベテラン中堅を擁していれば新人も擁したくなるのはプロダクションとしては当然で、養成所を持つことに関しては自然の流れと受け止められる。何の異議もない。問題はその内容である。結論から言えば、前記のような大量入学をさせている学校さんとは異なる、プロの養成機関としての機能を持たせるべきであるということだ。施設についても指導講師についても、もっと充実させる必要がある。
かつては勝田の教室から在学中にデビューしていった学生もいた。そうした新人が受け入れられる業界であったからだ。現在は各プロダクションが養成所を通過させてデビューさせるというような仕組みになってきているのだから、それならばそれなりに養成所でしっかりとプロの修行をさせるべきだと言いたいのだ。勝田の卒業生がそうした養成所に入ってがっかりして勝田に戻りたがるケースが多い。いずれも場所をとらない朗読などのレッスンはあるようだが、舞台公演に持ち込める程の演技レッスンや、スタジオでの録音実習などが不足しているように思える。プロ集団の養成所は通うのが楽しくてたまらない。モリモリ斗志が湧く、そんな風な養成所でありたいものだ。
2000年4月発行「Say You」第86号より抜粋 |