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「これは大変な仕事だ」。アテレコ実習を終えてそう思いました。
昨今のアテレコでは声優以外の人が起用される事も珍しくありません。俳優はもちろん芸人や歌手まで起用されています。そんな話を聞くうちに、いつしかアテレコを軽く考えていたように思います。しかしそこから抜け出すのに時間はかかりませんでした。
Aスタジオに入ると見慣れないマイクが目に飛び込んできました。その時自分が普段より緊張しているのも分かりました。皆も普段とどこか違っていて、スタジオ全体が色めき立っているように思えました。
実際にやってみると、尺がとても気になります。しまいには合わせることに終始して、結果、声は出ない、キャラクターの小さなリアクションは見落とすなど、当初思っていたことと全く逆になってしまいました。また漫画ということもあってか、キャラクターの心情の切り替わりがとても速いのです。1コマの中で何度も変わります。その速さについて行けず、結局メリハリのない芝居となってしまいました。
もう一つ苦しんだのが距離感でした。画の中で会話の距離や方向はすでに決まっています。それを明確に出せなければ、会話に聞こえない恐れもあるのです。僕は頭でイメージして科白を放ちますが、何度やってもピンと来るものがありません。すると西嶋先生が「イメージした中に入って距離感を掴むんだよ。画の中のキャラが飛び出して喋ってる、位の気持ちでないと」と仰いました。体が動かせないならイメージの中で動けば良い。イメージするだけで中に入らない自分の詰めの甘さを思い知らされました。
ともあれ、この実習で最も戸惑ったのはマイクワークでした。マイク3本に対して5〜6人が科白を発するコマもあります。いつ入りどう抜けるか、そういった動きも当然必要になってきます。これには皆も戸惑っているようでした。何度マイクの正面に入るように言われたか分かりません。
その時、勝田先生が仰いました。「君達は上手く動けなくても良いんだよ。それよりも他人に迷惑を掛けないように気を遣いなさい」。芝居における根本を指摘した一言でした。
最後に録音したものを見ました。何とか物語になってはいるものの、見ていて面白くない。初めてだからかも知れません。それでも、もっと面白く出来たはずだと思うと、自分の研究不足が悔やまれます。
「どんな役でもつまらなくするな。どんな役でも真剣に取り組んだ者だけが新しい役を貰える」。勝田先生が最後に仰った言葉を胸に刻み、これからも頑張ります。困惑だらけのアテレコ実習でしたが、とても勉強になりました。
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