Say You!バックナンバー・コーナー

■ 学院長および講師からのメッセージ ■

『声優と演技A』 学院長・勝田 久

(2004.7.17 UP)
 ニューヨークのアクターズ・スタジオについて簡単に紹介すると、「ゴッドファーザーPart2」にも出演している俳優リー・ストラスバーグ(1901〜82)が、太平洋戦争終結後間もなくニューヨークで、スタニスラフスキーシステムに基づく俳優教室を開いた。マーロン・ブランド、ポール・ニューマンら超一流の映画スターを育てて、アメリカ最高の演技教室といわれたスタジオである。

 丁度その頃、昭和23年ぼくはNHKの研修生となり、毎日日本語や演劇についての講座を受けていた。その科目の一つに「スタニスラフスキー演技論」というのがあった。講師は明治大学演劇科教授の山田肇先生。研修生は7名。山田先生は大学教授そのものという感じで、原書を翻訳されたものを抑揚もなくただ平坦に読み上げるだけ。研修生たちは眠くなってきて、回を重ねる毎に1人減り2人減りして、4回目以降はぼく1人が出席、ノートをとった。

 やせ我慢して出席していたわけではない。内容が実に面白いのである。俳優養成のノウハウが克明に記録されていて、いちいち頷けることばかり。既刊本に伊藤熹作翻訳の「スタニスラフスキー俳優修行」というのがあって手に入れ読んだが、翻訳が固くて消化不良を起こしそうであっただけに、この山田教授のマンツーマン講義はぼくにはすごく嬉しかった。スタニスラフスキーはモスクワ芸術座の演出家兼俳優であったが、その弟子のラポポルトが師匠の遺志を継いで「俳優の仕事」という本を著している、山田教授はスタニスラフスキーの講義のあと、その翻訳をしながらぼくに講義を続けられた。
 俳優修行の方法論など全く知らなかったぼくにはまさに青天の霹靂、山田教授は大恩人である。

(つづく)
2004年7月発行「Say You」第118号より抜粋

以降、続々登場予定!

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