| NHK研修生時代に受けた山田肇教授の「スタニスラフスキーシステムによる俳優修行」の講義は、僕のその後の声優生活に大変役に立った。演技の上での集中・解放の意義をこの時初めて知ることができた。 主任講師の和田靖先生(元NHK演出部長、イラストレーター和田誠氏の父君)から受けたアイウエオからの日本語の発音発声訓練と共に、声優を目指す僕の貴重な財産となった。 それより二年程前、終戦の翌年、戦後初めて日本に開かれた演劇学校鎌倉アカデミア演劇科(現在は廃校)が僕にとって俳優修行の第一歩であったが、ここでの学習は座学が多くいささか実践面に欠けていた。 ということで、僕はどうしても演劇を実践的に学びたくて、演劇科長村山教授に頼み込んで当時最大の演劇新協劇団の研究生にさせてもらった。夜は劇団稽古場での先輩達の稽古の見学、プロの稽古とはこういうものかと知ることができたし、時には稽古に参加して演じる機会も得られてラッキーであった。 好運は巡り始めるととどまることを知らないようだ。 それから半年後には僕は東宝演劇部の新人として採用されることになった。偶然のいたずらか、暮れも押し迫った師走の二十四日、ある作家先生の使いとして東宝演劇部を訪れた時、帰り際に初対面の真島三樹夫プロデューサーから呼び止められ、真新しい台本を手渡された。その中の登場人物Yを演じてみせてという指示に従ってその場で自分の解釈なりに演じてみせたところ、そのまま正月公演の出演が決定してしまったのだ。稽古期間は明日から一週間、会場は東京有楽町日劇小劇場。正月二日には初日の幕が開く・・・。 (つづく) |
| 2004年9月発行「Say You」第119号より抜粋 |
以降、続々登場予定!
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